| 貸借対照表と損益計算書 | 貸借対照表 | 損益計算書 | まとめ | HOME |

 

 『貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)

一定時点における企業の資産、負債及び資本の状態(財政状態を示す計算表を貸借対照表といいます。(B/Sと略される場合もあります。)

財政状態とは、一定時点における企業資本の運用形態である資産と、その調達源泉である負債、資本の構成を示すことをいいます。

簿記の要素のところで記しました資本等式(資産 ― 負債 = 資本)の負債を右辺に移してみますと、次のようになります。

資産 = 負債 + 資本


この等式は 『貸借対照表等式』 と呼ばれ、貸借対照表はこの等式に基づいています。




期首に作成される貸借対照表を期首貸借対照表、期末に作成されるものを期末貸借対照表といいます。
実際の会計期間は連続していますので、例えば当期の期末貸借対照表は、期が変われば同じものが次期の期首貸借対照表になります。

資産から負債を控除しますと、正味財産としての純資産が算出されることは記しました。資産や負債は日々変化していますので、結果として算出される純資産も日々変化しています。

ではその変化する純資産のうち、特に期首と期末の純資産(資本)を比較すると、どういうことが考えられるでしょうか。

例えば期首に純資産(資本)が100,000円あったとします。これが期末になった段階で、170,000円になっていたとすればどうでしょうか。
100,000円だった正味財産が170,000円になっているのですから、70,000円ほど純資産が増加しています。つまり、この増加した70,000円は、期首から期末までの経営活動の結果によりもたらされた儲け(純利益)だと考えることができます。
朝、財布の中身が20,000円だったものが、夜見てみると30,000円になっていたなら、なんとなく「儲かった」という気持ちになりますよね。

このように貸借対照表で利益を算出する方法は、企業活動の結果によりいくら純資産(資本)の増加したか、つまり、期末資本と期首資本との差額で算出することになります。

期末資本 − 期首資本 = 純利益 (マイナスの場合は純損失)


上記の等式の期首資本を右辺へ移すと、

期末資本 = 期首資本 + 純利益 (マイナスの場合は、期首資本 − 純損失)


となります。

つまり期末資本(期末純資産)は、期首資本(期首純資産)に企業活動の結果によりもたらされた利益分だけ増加するというわけです。

企業活動の結果が利益ではなく損失であれば、期末資本(期末純資産)は、損失分だけ期末資本(期末純資産)より減少します。




このように、期末資本と期首資本との差額として利益を算定する方法を 『財産法』 といいます。

資本とは正味資産ですので、資産の裏付けのある利益を計算できるという長所があります。


長所があれば短所も・・・・
一定期間の企業活動の結果、純資産が増加していますので、利益が生じたことに間違いはありません。

しかし、期首資本と期末資本とを比べ、その増加した部分が利益だと言われても、「その利益は、どういった原因でもたらされたのか」という利益の発生原因は明らかになりません
朝、20,000円だった財布の中身が、夜、30,000円になっていたなら、「儲かった」という気持ちにはなりますが、同時に「なぜ10,000円増えているの?」という疑問も生じますよね。

つまり、資本が増加した原因が「売上が増加して利益が出たのか」、あるいは「経費を削減した結果、利益が出たのか」、または「持っていた有価証券を売却して利益を出したのか」など、どういう過程を経て生じた利益なのか分からないという問題点が生じます。

これは少々困ったことです。資本が増加しているから、利益が生じていることに間違いはない。だけれども、その原因が分からない・・・・・。

利益を算出する方法が、もう一つありました。損益計算です。(収益 − 費用 = 利益)

期首から期末の間に発生した収益と費用を、対応させる形式で表示することにより、利益の発生原因を明らかにすることができます。



 Topへ




 『損益計算書(そんえきけいさんしょ)

一定期間の収益と費用を明らかにし、企業の経営成績を報告する計算書を損益計算書といいます。(P/Lと略される場合があります。)

損益計算書は、損益計算の式を少し変形させた 『損益計算書等式』 に基づいて作成されます。

費用総額 + 純利益 = 収益の総額




純利益(純成果)とは、損益計算書に示されるように、どれだけの努力(価値犠牲=費用)をして、どれだけの成果(価値生成=収益)を生み出したかということになります。

一会計期間の収益より費用を差し引いて利益を算定する方法を 『損益法』 といいます。

収益と費用の対応から利益を計算するので、利益の発生原因が明らかになるという長所があります。


長所があれば短所も・・・・Part2
損益法により計算される利益は、あくまで計算上の利益で、必ずしも資産の裏付けのある利益とはいえない場合があります。



 Topへ

 

 

 『貸借対照表』と『損益計算書』のまとめ

企業は会計年度が終了しますと、貸借対照表損益計算書によって財務内容を利害関係者に報告します。(これに 『キャッシュ・フロー計算書』 が加わる場合もあります。)

おさらい
■ 貸借対照表は、一定時点における企業の、財政状態を表す計算表
■ 損益計算書は、一定期間の収益と費用を明らかにし、企業の経営成績を報告する計算表


正味財産である純資産(資本)が、期首に比べていくら増えているか(または減っているか)で、企業の純利益(または純損失)が計算できます。(期末資本 = 期首資本 + 純利益) その資本は、資産から負債を控除することで計算できます。(資産 − 負債 = 資本)

だとすれば、「期首の時点で資産と負債の実地棚卸を行い、期末になったらもう一度資産と負債の実地棚卸を行えば、別に帳簿を記入しなくても、利益は計算できるのでは?」と思われるかもしれません。

結論からいいますと、『不可能ではない』 と言えるかと思います。

期首と期末の資産、負債を棚卸をすることにより明らかにし、2時点の資本の増減により純利益を計算する方法を 『財産法』 といいます。

ただし、帳簿記入に基づいていませんので、『日常の取引の管理ができない(後日、確認できない)』、『会計期間中に、もし財産が紛失したとしてもわからない』、『現在の会計では、財貨や債権以外にも資産として計上しなければならないものがあり、実地棚卸によると発見できない』 などの問題点があります。

そして何よりも、『利益の額は計算できるが、その利益がどういった原因で発生したか』 の把握が不可能です。

利益の発生原因を明らかにするために、収益と費用を個別に管理し、損益等式(収益 − 費用 = 利益)により純利益を計算する方法を 『損益法』 といいます。

複式簿記では、この『財産法』と『損益法』がどう行われるのでしょうか。

それぞれの等式から考えますと、
財産法は、期首と期末の資本を比較して利益を計算しますので『貸借対照表』で示される。
損益法は、収益から費用を控除して利益を計算しますので『損益計算書』で示される。

と言えるかもしれません。

普通に考えて、同じ会社で同じ期間の計算を行うわけですから、利益の額は一つのはずです。つまり、『貸借対照表』の利益と、『損益計算書』の利益の額は、必ず一致するはずです。

しかし、『貸借対照表は財産法で行い、損益計算書は損益法で行う』 ことをとすれば、それぞれの利益は一致しなくなるかもしれません。一致しなければ、はたしてどちらの利益が正しい(優先される)のでしょうか。

複式簿記では、そのようなことにならないように、貸借対照表も損益計算書も同一の帳簿の記録により作成します。このように、帳簿に記入された記録を基づいて、貸借対照表や損益計算書を誘導的に作成する方法を 『誘導法』 といいます。

誘導的に貸借対照表と損益計算書が作成されるわけですから、複式簿記では 『財産法』 とか 『損益法』 を意識することはありません。


貸借対照表と損益計算書との関係を、図で表しますと以下のようになります。






注意 !!
何だか、複式簿記は非常に便利そうですね。

帳簿を記入すれば、それに基づいて 『誘導的に貸借対照表や損益計算書が作成』 され、純利益が計算されるのですから。(もちろん、貸借対照表や損益計算書を作成するための知識や技術は必要です。)

ただし、帳簿記録に基づいて 『誘導法』 により作成される貸借対照表や損益計算書も、残念ながら完全ではありません。

それは、現金過不足(帳簿上の現金残高と、実際の現金有高との差額)や棚卸減耗(帳簿上の在庫と、実際の在庫との差額)はどうしても発生し得るもので、実地棚卸の結果により、帳簿上の数字を修正する必要があるからです。
(「倉庫に保管しておいた商品が、ネズミに食べられた。」なんてことまで、帳簿では管理できませんからね。)

正確な帳簿記入であっても、実地棚卸の結果、差額が生じているのであれば、帳簿記録を修正する必要があります。実際には 『無い』 ものを、帳簿上 『有る』 と表示するのことは、やはりおかしいですからね。

基本はあくまで 『誘導法』 なのですが、帳簿記録と事実計算との差額の修正に、実地棚卸という 『財産法』 の手法が用いられるのです。

帳簿記入を修正するのですから、実地棚卸というものは、極めて重要な作業となります。




 Topへ